頭の病気のご利益

　寺伝によると、平安時代、弘法大師が熊野権現の化身である翁から授かった十一面観音を本尊に建立したのが今熊野観音寺であるといわれています。
　本尊は、弘法大師作と伝わる十一面観世音菩薩。その体内仏として熊野権現より授かったという十一面観世音菩薩がまつられています。本尊は秘仏ですが、本尊と同じお姿をされた御前立さまが参詣者を迎えてくれます。

　今熊野観音寺といえば、頭痛封じのお寺として有名です。
　平安時代のこと。後白河法皇は持病である激しい頭痛に悩まされていました。そこで熊野権現を篤く信仰されていた後白河法皇は、頭痛封じの観音様としても知られていた当寺の観音様に頭痛平癒のご祈願をされたところ、ある日の夜、法皇の枕元に観音様が立たれ、法皇の頭に向けて光明をお差しくださったそうです。するとなんとも不思議なことに、長期にわたり悩まされ続けていた頭痛がすっかり治癒したそうです。
　このお話が世に広まり、今熊野観音寺は頭痛封じのお寺としていっそう広く、篤く信仰を集めるようになりました。

　今熊野観音寺では、特別授与品として頭痛封じにご利益があるという「枕宝布（カバー）」を授けていただけます。
　全国から頭痛封じ祈願に訪れる参詣者が絶えない、「頭の観音様」を本尊とするお寺です。

　１３２２年にこの地を治めていた豊島氏が、紀州（現在の和歌山県）から熊野権現の若一王子を勧請し、祀ったのが王子神社のはじまりです。江戸時代には、徳川家康から朱印地の寄進を受け、江戸名所のひとつに数えられました。
　また明治元年には、東京十社の一つにも選ばれています。

　その王子神社の境内には、「髪の神様」として信仰を集める関神社があります。
　御祭神は、蝉丸公、逆髪姫、古屋美女。
　御祭神の一柱である蝉丸公は醍醐天皇の第四皇子とも言われ、盲目でありながら琵琶の名手であり、和歌に長けた人物として知られ、百人一首の「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」という歌を詠まれたことでも有名です。
　そのことから「音楽、芸道の神」として名高い蝉丸公ですが、加えて逆髪に悩む姉のために初めて「かもじ（かつら）」というものを考案されたのも蝉丸公です。髪を整える工夫をしたことから「髪の祖神」として信仰を集める蝉丸公。江戸時代、そのご神徳を仰ぐ人々によって王子神社境内に祀られました。
　現在も、かつらや床山、美容師などの理髪業界をはじめ、薄毛や頭髪に関する悩みを抱える人々の信仰を集めています。
　関神社の境内にある「毛塚」は、昭和３年（１９２８）に毛髪を扱う業者により毛髪供養に建立されたものです。

　天長１０年（８３３）に淳和天皇の勅願により弘法大師（お大師さま）が開創した真言宗のお寺。

　お大師さまは観音霊場を開こうと廣田神社で夜を通じて拝んでいると仙人が現われ、この地を教示されました。そのお告げに従い入山したところ、この地を支配する「ソランジン」という大鷲が現われ、口から火を吹きお大師さまの入山を妨げました。そこでお大師さまは傍らの木を切り、湧き出る清水にひたして加持をし、大鷲を桜の霊木に封じ込めました。すると再び仙人が現われ、「観音示現の地､なんじの求める霊域はこの処なり。」と告げられました。お大師さまが礼拝するとそこに観音様が現われ、そのお姿を大鷲を封じ込めた桜の霊木に刻んだのが鷲林寺の本尊・十一面観世音像（伝・弘法大師）です。

　本尊は古来より「喉の病（喘息など）除けの観音さん」「中風除けの観音さん」と呼ばれ信仰を集める観音様。
　毎年１月２１日の「初大師大祭」では中風除けの大根炊きが、４月２１日の「本尊開帳大祭」では中風除けの草だんごがいただけます。